2011年04月11日

粘土について(1)

これからここで行うフィギュア原型製作は彫塑方式で、と前回書いたわけですが、全てを粘土だけで行うわけではありません。

粘土だけで製作できないこともないのですが、原型製作としての効率を上げるために様々な素材を使用します。

主に彫塑的な手法を使うというだけで、ときにはパテを削ったりときにはハンダ線やビーズを貼り付けたりするかもしれません。

しかしそれでも、フィギュア本体の大部分は粘土で製作するわけですから、素材となる粘土のウエイトが大きいことに間違いありません。

したがって、その粘土にどのようなものを使うのか? という選択は重要です。

ひとことで粘土といっても、かなりの種類が世の中には出回っています。

誰もが子供の頃に一度はさわったことのある、油粘土。
クラフトによく使用され100円ショップでも見かける、紙粘土。
自動車のエクステリアデザインモデルなどに使用されるインダストリアルクレイ。
指輪やアクセサリを手軽に作るための銀粘土も、粘土のひとつです。

003-01.jpg
(さまざまな種類の粘土)

上記以外にも粘土にはさまざまな種類があり、これから粘土造形を始めようとする方にとっては迷うところです。

このように数々ある粘土の中で、私たちがこれから行おうとしているフィギュア製作に最も適している粘土はどれでしょうか。

結論から先に話してしまうと、現在フィギュア原型製作で最も使用されている粘土は、スカルピー(SCULPEY)と、ファンドをはじめとする石粉粘土です。

スカルピーは、アメリカのポリフォーム社が製造し、国内ではダイセルファインケム社が販売している熱硬化型の樹脂粘土であり、ファンドはアートクレイ社が販売する石粉粘土です。

003-02.JPG
(スーパースカルピー)

003-03.JPG
(石粉粘土ファンド)

原型製作に携わる多くの方が使用するこの粘土のどちらかを選択しておけば、初めての方でもまず間違いはありません。

これらの粘土を使ってください、と言い切ることは簡単なのですが、その前に、なぜスカルピーとファンドがフィギュア原型製作に多く使用されているのかを考えてみます。

前回お話したように、フィギュア原型はワンオフモデルではない、ということが前提です。
原型完成後に、シリコーンゴムなどで型を作ることが一般的なのです。
(シリコーンゴムによる型取りについては、いずれ詳しくお伝えします)

そのために、原型は固体でなければなりません。

003-04.JPG
(シリコーンゴム型の例。個体である原型を、液体状のシリコーンに埋没させる。その後シリコーンをゴム状に硬化させてから原型を抜き出すと、型ができる)

カチカチでなければいけません、とまで言うつもりはないのですが、少なくとも手で持ち上げても元の形が歪まない程度の固さは必要です。

つまり、油粘土のようにいつまでも柔らかく、固まらない粘土は使用できません。

また、製作途中の原型が、時間経過と共に変形してしまうことも、できる限り避けなければなりません。

紙ヤスリなどを使って表面処理ができるかどうか、細かなディティールを加えることができるかどうか、これらも大切なポイントです。

粘土を構成する粒子が大きく、表面をペーパーがけすると荒れてしまうような粘土は、やはり使用を控えた方がよいでしょう。
粒子が大きいということは、細かなディティールを入れることが難しくなるということも意味しています。

紙粘土は、硬化時の水分蒸発によりヒケ(収縮)やひび割れが起きる可能性が比較的高く、また粒子が粗いために表面処理に手間がかかります。

一番手軽に入手できそうな粘土が使用しにくいというのも残念ですが、これらの理由から、やはり紙粘土は使用を控えた方が無難です。

特殊な使用法をする粘土も、まずは避けた方がよいでしょう。

インダストリアルクレイは、通常状態ではクレヨンのような固体ですが、熱を加えるとチョコレートのように溶ける粘土です。慣れればそれなりに扱いやすいので原型に使用する方は多いのですが、扱い方が特殊な部類に入るため、はじめはやはり避けた方がよいと思います。

003-05.JPG
(インダストリアルクレイ。熱を加えると液状に軟化する)

このようにひとつずつ考えていくと、フィギュア原型製作にとって都合がよい粘土が持つべき、だいたいの特徴が把握できてきます。

1造形後に、硬化させることができる。
2硬化時の変形が少ない。
3粒子が細かく、表面がなめらかになる。
4作業性がよい。
5入手が比較的容易である。

おおよそのところで、この5点をクリアできる粘土があれば、それはフィギュア原型に使用できることを意味しています。

そして、現在のところこれらの要点をクリアする粘土は、スカルピーと石粉粘土くらいしか見つけられないのです。

逆に言えば、現在粘土でフィギュア原型製作を行う方たちのほとんどが、このどちらかを使用して造形を行っているということです。

posted by fgdiary at 14:19| Comment(1) | 日記
この記事へのコメント
参考になりました!
紙粘土で頑張っていたのですが、変えてみようと思います。
Posted by 初心者 at 2013年03月03日 19:59
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: