スカルピーをオーブンで焼くこと自体については前回お話しましたが、では、造形作業のどの段階で焼けばいいのでしょうか。
まだ芯もできていない段階でのこの話は、少々先走りすぎかなとも思いますが、良い機会だとも思うので少し考えてみようと思います。
スカルピーを焼く工程は、スカルピー造形にとっては絶対に必要な手順ですが、造形作業のどのタイミングで加熱、硬化させるのか、という問題はなかなか難しく、おそらくスカルピーを使って造形を行うほとんどの方々が、少なからず迷う問題だろうと思います。
まず言えることは、全身を製作するフィギュアのような造形物の場合、すべての造形を終わらせてから最後に一度だけオーブンで焼いて完成させる、という製作方法を採ることがかなり難しいということです。
(オーブンを使用せずに、「ヒートガン」というドライヤーを強力にしたような機器を使用すれば、可能になります。しかし、この手法は特殊な方法に入ると思われるので、今の段階では対象外としておきます。)
造形作業途中のどこかで、何度か、スカルピーを焼き固めながら作業を進めていかなければならないでしょう。
これは全身をまるごと造形する場合にとどまらず、細かくパーツ分割して造形していく場合も同様です。
スカルピーは粘土ですので、造形を施した部分を指で触れれば、当然のことながら造形箇所はつぶれてしまいます。
造形を終わらせた部分は、焼き固めるまでは絶対に触れないようにしなければなりません。
そのためには、造形部分以外の場所を持つようにする、つまり、造形物のどこかに、手でパーツを保持するための場所が必要になります。
これは、手で保持している部分の造形はできない、ということを意味します。
また焼成時には、造形物を宙に浮かせるように支持材を工夫する場合以外は、オーブン内での接地面が必要になります。
造形を施した部分が接地面にあたってしまうと、これも当然のことながら、自重などで造形した部分は破壊されてしまうでしょう。
これを防ぐためには、接地部分にあたる場所の造形は、後回しにしなければなりません。
このようにスカルピー造形では、オーブンで焼くという工程があるために、造形作業が制約を受けてしまいます。
これらは、加熱硬化させるためにオーブンを使用するスカルピー特有の問題であり、他の素材ではこのような問題はありません。
しかし、他の素材ではその素材なりの問題が必ずあり、それに合わせて造形作業は制約を受けています。
全ての制約から解放された、完全無欠で自由な造形素材は、まだないのです。
制約の多い造形素材の中で、スカルピーが多くの人に使用されている理由のひとつに、このような素材特有の問題を比較的解決しやすい、という部分があると思います。
一度加熱して硬化させたスカルピーは、複雑な造形部分でも指で触れることができるようになります。
(もちろん、注意して丁寧に触れる、ということですが)
硬化後でも盛り足しが比較的簡単にできるというスカルピーの性質が、このときに生きてきます。
硬化させた造形部分を今度は保持部とし、前に保持部としていた部分に新しいスカルピーを盛り足せば、その部分を造形していけることになります。
接地面の問題では、オーブンの設置面にあたる部分は造形を控え、他の部分の造形終了後に加熱硬化させてから、接地面となっていた部分に新しいスカルピーを盛りつけて造形を行えば、2度の焼成で全体の造形が完了することになります。
要するに、つぎはぎの要領で、時折焼き固めながら徐々に造形完成部分を広げていくというやり方が、スカルピー造形の効率的な作業方法となるのです。
以上のような造形方法を行うと仮定すれば、スカルピーを加熱硬化させる、だいたいのタイミングが掴めてきます。
目安として、「髪の毛がない頭部」を造形していく場合の作業例を挙げてみます。
(あくまでも、ひとつの例です。他にも、いろいろな方法が考えられますので、自分なりのやりやすい方法を見つけていただくのが、一番良いと思います)
1 顔面と後頭部を一度で造形するのではなく、後頭部にあたる部分を指で持ち、まずは顔面だけを造形します。
2 顔面の造形ができあがった段階で、指でつまんでいた後頭部をオーブンでの接地面として、加熱硬化させます。
3 顔面の造形部分が硬化したスカルピーは、同時に、指でつまんでいた後頭部もそのまま硬化しているはずですので、不必要なでっぱりになっている部分などをナイフで削り落とします。
4 硬化した顔面を丁寧に指で持ち、後頭部に新しいスカルピーを盛りつけて、全体のカタチを出していきます。
5 造形が完了している顔面をオーブンに接地させるのは問題があるので、首の部分にピンバイスで穴を空け爪楊枝などを差し込み頭部全体をオーブンの中で立てる、などの工夫をしたあとで、加熱硬化させます。
上記のような方法を採れば、2度の焼成で頭部の造形が完成するでしょう。
例に挙げた頭部のみならず、四肢や胴体を造形する場合にも、同じ手法を採ることができます。
ただ、造形作業はここで挙げた例のように単純なものばかりではありません。
スカルピーを使い慣れたとしても、複雑な表面造形などでは、いつ焼けばいいのかと迷うことが多く出てくると思います。
すべての場合に対応できる手法は、存在しません。
そのときどきで、個別に対応していくことしかできないのです。
それでも、スカルピーの性質を把握していれば、対応不可能な事態にまではならないと思います。
やはりまずは、スカルピーをたくさん触り、幾度か焼き固めてみて、少しずつ経験を増やしていくことが、最良の対応策につながっていくだろうと思います。
この記事では具体的な画像などは掲載できませんでしたが、これから行っていく実作業ではこの手法を使っていきますので、それぞれの段階で画像をお見せすることができるかと思います。
2011年05月27日
スカルピーを焼くタイミング
posted by fgdiary at 18:21| Comment(0)
| 日記
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