2011年05月09日

サイズについて

個人でフィギュアを造形する場合、大きさにはそれほどこだわる必要はありません。
造りやすそうな適当な大きさにすれば良いと思います。

大きさを気にせずに、自由に造形をしてみることが大切なことだと思います。

それでもやはりはじめは、何かの基準がある方がいいと思われるかもしれません。

どのくらいの大きさがいいのかなと迷ったときには、全高約20センチになるようにすることをお勧めします。

このサイズはフィギュアでよく使われる、1/8サイズの大きさとなります。

もちろんこれは、全身造形で極端なデフォルメがなされていないフィギュアの場合です。

身長165センチの女性を8分の1の大きさにすると、約20センチになりますので、このくらいの大きさから始めるのが良いでしょう。

フィギュアの世界でよく使われる縮尺は、1/12、1/8、1/6あたりです。

しかし、個人でフィギュア造形を行う場合に、これらの縮尺を必ず守らなければいけないということはありません。

これらの縮尺は、フィギュアメーカーやフィギュアディーラーの製品ラインナップや製造コスト、大きさの手頃感などから使われ始めたものだろうと思います。

したがって、職業原型師やシリーズ展開などを考えているディーラー原型師以外は、これらの縮尺に縛られる必要はまったくないのですが、確かに全高20センチほどという1/8サイズは、手頃な大きさであることに間違いはありません。

また、現実に世の中に出回っているフィギュア製品も多くがこの縮尺を採用していることもあり、自作のフィギュアをいっしょに並べたり、あるいは製品フィギュアを造形の参考にしてみたりする場合にも、都合の良い大きさです。

もちろん、1/12サイズや1/6サイズでフィギュアをつくり始めてもかまいません。

しかし、この両者とも、1/8に比べれば作業的に難しくなります。

1/12では、頭部等の造形が極端に細かくなります。
細かすぎる造形は、はじめのうちは避けた方が良いでしょう。

1/6以上では全体のサイズが大きくなりすぎて、造形周辺作業が行いにくくなります。

造形作業そのものは面積が広がっても、ディティールをどこまで入れていくのかの違いだけでそれほど他のサイズと変わりはないのですが、フィギュアの各パーツが大きくなるために、例えばオーブンに入りにくくなったりします。

伸ばした脚のようなパーツや広げたマントのようなパーツ等では、1/8サイズでは考えなくても良いような熱変形なども考慮しなければいけなくなります。

このような造形そのものとはあまり関係なく、サイズを小さめにするだけで防げるような問題は、はじめのうちは考えないようにして造形作業に集中するべきだと思います。

これらの理由から、1/8以外のサイズは、はじめのうちは選択するべきではないと考えます。

上記したように、個人でフィギュア造形を行う場合は、縮尺にこだわる必要はありません。

しかし、もし迷った場合には、できるだけ1/8サイズ程度にしてください。
作業的にも大きさ的にも、最適なサイズになるでしょう。

posted by fgdiary at 18:32| Comment(5) | 日記

フィギュアの芯をつくる(1)

前回までに説明した素材と道具だけでは、フィギュア原型を完成させることは難しいかもしれません。
この先にまだ、いくつかの素材と道具が必要になるでしょう。

しかし、それらを揃えるために作業開始を遅らせるよりは、とりあえず必要なものだけを揃えて、少しでも早く粘土を触り始めるべきです。

粘土造形に必要なものは数々ありますが、何よりも大切で必要なことは、粘土の感触を指先に覚えさせることだと、私は思います。

なるべくたくさんの時間、粘土を触り続けて、その感触をいつでも思い出せるほどにまでなれば、始めは思い通りにならない粘土がいつの間にか指の間で自由自在にカタチを変えるようになるものなのです。

指先に感じる粘土の感触が自分のものになれば、そのとき始めて様々な道具が効果を発揮するようになるでしょう。

まずはとにかく、粘土をたくさん触わることから始めましょう。

スカルピー(ここではグレイスカルピー)は、パッケージを開封したままの状態では固くて少し使いにくいので、実際に造形に使う前に練らなければなりません。
グレイスカルピーはスーパースカルピーに比べれば柔らかいので、練る時間や労力は比較的少なくて済みますが、それでも作業前にある程度練っておいた方が良いでしょう。

グレイスカルピーを開封する場合、巻き付けられているビニール膜を全て取ってしまうのではなく、とりあえず使用するだろうと思われる量だけ、パッケージ状態のままナイフで切り取ってしまう方が良いと思います。

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(パッケージのまま切断したスカルピー)

こうすることにより、残りのスカルピーの保存状態が良くなります。
数ヶ月単位で放っておく場合以外は、この状態のままでかまいません。

むき出しのまま残ったスカルピーも、数週間くらいであれば何も保存対策を取らなくても大丈夫ですが、やはり粘土に含まれる溶剤は少しずつ揮発するものなので、できれば保存容器(タッパーウエア等のプラスチック容器)に入れて保管する方が良いでしょう。

この保存管理の容易さは、石粉粘土と比べた場合の、スカルピーの大きなメリットです。

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(むきだしのスカルピーは保存容器で保管)

パッケージ状態のスカルピーからある程度の量を切り取ったら、とにかく練ってみましょう。

固い粘土が、どんどん柔らかくなっていく感触が味わえるはずです。
スカルピーは、よほど柔らかくならない限り、手に粘り着くようなことはありません。

握ったりつぶしたり、つまんだりひねったりしてみてください。
指を押しつければ指紋さえもはっきりと転写できるくらいのキメの細かさを、確認してみてください。

できるだけじっくりと練っていただき、ご自分がこれから使う粘土の感触を試してみてください。

本当は、このまま手に取った粘土で自由にお好きなカタチをつくっていただきながらどんどん粘土に慣れてください、とお勧めしたいところですが、このブログは一応フィギュア製作を目的にしているわけですので、さっそく次の行程に進むことにします。

フィギュア製作でまず始めに行うことは、「芯」をつくることです。

本来は芯の前に、何をつくるのかを決定してデザインを起こしたり、あるいは版権物ならば資料を集めてポーズ決定したりと、粘土を手に取る前にやるべきことが多々あります。

それらについてはいずれお話させていただくつもりですが、今はとにかく、これから長くお付き合いすることになる粘土に慣れ親しんでもらいたいという目的で、実作業を始めてしまおうと思います。

柔らかくなった粘土を、以下の画像のような塊に分けます。

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(スカルピーの塊で人体の各パーツを分ける)

これらの塊をアルミ線で接続したものが、フィギュア(人体全身造形)の素になります。

画像では大きさがはっきりしていませんが、ほぼ全高20センチです。

posted by fgdiary at 18:30| Comment(8) | 日記

2011年04月25日

とりあえず必要なもの

作業を始めるにあたり、とりあえず必要な道具と素材を列記してみます。
以下に列記した道具と素材は、まずはじめに必要かなと考えたものですので、ここに並べたものだけで全ての作業が完成するわけではありません。
作業の進行とともに必要になる道具や素材は、その時々で説明していきたいと思います。


・粘土
スカルピーか石粉粘土。
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(グレイスカルピー)


前回まででお話ししたように、それぞれに合った粘土を使用してください。
個人的には、スーパースカルピーか、グレイスカルピーをお勧めします。

用意するスカルピーや石粉粘土の量ですが、仮に1/6スケールで、巨大な付属物等がない標準的な人体を造る場合、300グラム程度あれば作成可能です。

つまりスカルピー1パッケージの454グラムあれば、1/8から1/6の人体をひとつ造ることができるということになります。

もちろんこれには、硬化後に削り落としたり失敗して作り直したりする部分を含んでいませんので、あくまでも目安としてお考えください。

いずれにしてもまず始めは、1パッケージだけ購入して、とりあえず実際に触ってみてから、追加の購入を考えた方が良いでしょう。


・加熱機器
スカルピーを硬化させるための、温度調節機能付きオーブン。
石粉粘土の場合は、ドライヤーを用意すると作業効率が良くなります。
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(温度調節機能付きオーブン。私が使用しているものです)

(オーブン使用時の注意)
オーブンは、できるだけ造形作業専用としてください。
スカルピーは加熱硬化時に有害なガスを発生させるとお考えください。

そのガスが人体にどれほどの影響があるのかというデータが私の手元にあるわけではないのですが、できるだけ食材などとは接しないようにした方が無難であることは間違いありません。

また、オーブンは動作時にかなりの電力を使用します。
オーブンと同時にほかの電気機器を使用すると、ブレーカーが落ちてしまうこともあり得ます。

オーブンでの加熱焼成時間は数十分を必要とします。
するとどうしても、その間に何か別の作業をと考えて、ほかの電気機器を油断して使ってしまったりするものです。

常にPCを起動しながら作業をする方は、頻繁なバックアップをお勧めします。

私自身、何度もブレーカーを落としてしまい、泣くに泣けないことが多々ありましたので、余計なおせっかいとは知りながらも念のために。

(どのくらいの大きさのオーブンが必要なのか?)
オーブンの大きさですが、もちろん大きければ大きいほど使い勝手が良くなるのは間違いありません。

内部空間が大きいほど大きなパーツを入れることができ、また、オーブンの赤熱部とパーツの距離がある程度大きくなることにより、均一な加熱が得られます。

しかし、均一な加熱という部分については、小さなオーブンでも工夫によりなんとかなるものですので、このためだけに大きなオーブンを購入する必要はありません。

現在手元に造形作業専用のオーブンがないのであれば、まずは予算の許す範囲で適当なものを購入してしまい、それに満足できなくなってからもう一度考えるという方法が一番いいのではないかと思います。

食パンを焼くトースターとしての小さなオーブンなら数千円から購入できます。
それほど繊細ではなく、壊れやすい機器でもないので、中古品を探すという手もあるのではないかと思います。

(電子レンジは使えないのか?)
スカルピーを加熱硬化させるために、オーブンではなく電子レンジは使えないのか? という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

結論からお話しすると、電子レンジは使用できません。

私も疑問に思い、以前に実験してみたことがあります。
スカルピーの小さな塊を電子レンジにかけてみたところ、表面がうっすらと硬化しました。

これならイケるんじゃないのと喜んだのもつかの間、ナイフで半分に切り分けてみると、内部が黒こげになっていました。

つまり、オーブンで表面に熱を加える場合とはまったく逆の硬化状態になっていたのです。
このような硬化状態になるのであれば、通常の作業では使用できません。

ただ、このような奇妙な硬化状態はオーブンでは再現できないので、ある特定の場合には使える可能性もあるかもしれません。

問題は、その「ある特定の場合」がどのような場合なのかを、まだ見つけていないということですが・・・。

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(電子レンジで加熱したスカルピー。内部が焦げ、全体が膨張している)


・アルミ線
フィギュアの芯を作ったり、スカルピーを接続したりするために使用します。
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(園芸用のアルミ線で充分です)

さまざまな直径のアルミ線が売られていますが、ここでは1.5o径を使用します。

1.0oでも2.0oでも特に問題があるわけではないのですが、経験上1.5o径が一番手頃で扱い易いかなあ、というだけの理由です。

100円ショップやホームセンターの園芸コーナーに、盆栽園芸用としてリール状に丸まったものが売られていますので、それを使うのが手っ取り早いでしょう。

もちろんアルミ線以外の素材、真鍮や洋白、銅線やピアノ線などを使用してもかまわないのですが、相当な強度を必要とするとき以外は、加工に手間がかかりすぎます。

フィギュア原型製作としては、アルミ線が一番使いやすい素材だと思います。


・ピンバイス
ピンバイスは、指先で使える手動の小型ドリルです。
硬化したスカルピーに、アルミ線などを差し込む穴を空けるために使用します。
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(ピンバイス。先端を交換してサイズを変更します)

ドリル部分を付け替えることにより、0.1oから3o程度の大きさの穴を空けることができますが、よく使うのは0.8oから2oくらいまでです。

ここでは上記のアルミ線を通す穴を空けたいので、1.5o程度のドリルを用意します。

1.5oのアルミ線を通すために1.5oのドリルではまずいんじゃないの? と思われるかもしれませんが、スカルピーは硬化しているとはいえ元々が粘土なので、それほどの精度は出ません。

1.5oのドリルで空けた穴に、1.5oのアルミ線は簡単に通ってしまうのです。

100円ショップにはドリル部の差し替えができない固定式ピンバイスも置いてあるので、よく使うサイズだけをばらばらに揃えておくのも一つの手です。

ドリル付け替え式ピンバイスの本体価格は1500円前後ですが、付け替え用のドリル部を揃えるために別途費用がかかります。


・ニッパーとペンチ
アルミ線を切断したり挟んだりするために使用します。
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(ニッパーとペンチ)

とりあえずは100円ショップに置いてある小型のものでかまいません。

ただし、アルミ以上に硬いものを切るときは注意してください。
歯が欠けて、使用できなくなる場合があります。

将来的には真鍮線などにも使用することがあるので、そこまで考えれば、ホームセンターなどで歯の硬さが信用できるものを購入しておくのが良いかもしれません。


・瞬間接着剤
瞬間接着剤はさまざまな場面で使用します。
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(100円ショップの瞬間接着剤)

瞬間接着材は、極端な消耗品と考えておくのが良いでしょう。

高価なブランド品をひとつ買うよりも、100円ショップに並んでいるものを三つ購入した方が、効率的だと思います。

瞬間接着剤は保存管理が難しく、開封してしばらく置いておくとすぐに使用できなくなってしまう可能性が高いものです。

保存管理に必要以上の気を使うよりは、予備をたくさん用意しておき、硬化して使用できなくなったものは破棄して、新しいものを使った方が作業的にも精神衛生的にも、効率的です。


・エナメルシンナー
スカルピーの表面処理や、スカルピー同士の接着補助に使用します。
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(模型塗料用溶剤、エナメルシンナー)

硬化前のスカルピーを部分的に溶かす、という機能が目的です。

エナメルシンナーを塗りつけたスカルピー表面は、うっすらと溶けます。
溶けた表面を筆でならしていくことにより、表面処理を行います。

硬化後にサンドペーパーで磨けないような、ディティールの込み入った部分には有効な方法です。

また、スカルピーを溶かすことにより、スカルピー同士の接着剤の代わりにもなります。

使用するエナメルシンナーは、模型店に置いてあるエナメル塗料用溶剤の流用が一番良いでしょう。

(エナメルシンナー以外は使えないのか?)
エナメルシンナー以外のシンナーは使えないのか? と言われれば、ほかのシンナーも使えますとしか言いようがないのですが、溶剤としての強度という面で、エナメルシンナーがちょうど良いのです。

模型用のラッカーシンナーやホームセンターで手に入る工業用のシンナーでも使用できないことはないのですが、スカルピーを溶かす力が強すぎて、微妙な表面処理をする場合のコントロールが難しくなります。

逆に言えば、表面処理以外の作業でなら、これらのシンナーを使ってスカルピーを溶かすという方法も考えられます。

スカルピーをシンナーで液状にして溶きパテのように使う、という場合などにはエナメルよりも強いシンナーを使用した方がいいかもしれません。


・小型の平筆
エナメルシンナーをスカルピー表面に塗るときなどに使用します。
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(模型用の筆、各種)

溶剤に浸す筆ですので、なるべく模型用として売られている筆を使用した方が良いでしょう。

100円ショップなどで売られている筆を有機溶剤に浸しながら使用していると、すぐに筆先が変形してくるものがあります。

それほど高価なものではないので、変形して使いにくくなるたびに買い換えるという方法もありますが、ある程度しっかりしたものを購入し長く使う方が、私は効率的かなと思います。

もちろんこの判断は、みなさまそれぞれにお任せします。


・・カッターナイフ
とりあえず今すぐに必要というわけではないのですが、カッターナイフはこの先さまざまな場面で使用しますので、はじめの時点で揃えておく方が良いでしょう。
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(カッターナイフと替え刃)

スカルピーは粘土なので、硬化させる前に造形を終わらせることが基本です。

しかし、硬化させた後で彫刻的な造形ができるところも、スカルピーの優れた部分です。
実際にスカルピーを使って造形を始めると、硬化後に切削するという作業を行うことが意外に多くなります。

盛って固めて削ってまた盛る、というのが、スカルピーを使った造形の流れなのです。

そのために、削るという作業を担当させるカッターナイフは、スカルピー造形には必要不可欠の道具ということもできます。

まずは普通の工作用カッターナイフがあれば、それでかまいません。

できれば別に、デザインナイフと呼ばれる、細かな作業用のナイフも用意した方が良いでしょう。
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(デザインナイフと替え刃)


おおまかなところで、以上の道具と素材が揃えば、造形作業は開始できます。

posted by fgdiary at 20:23| Comment(85) | 日記